好きを語ろう読書会3ギジロク


2021年7月14日(水)、好きを語ろう読書会(京都伏見桃山)が招集され、9名で好きな本を紹介しあいました。

純喫茶のようなコーヒーチェーン店で19:00~20:00の1時間、計9冊の本が紹介されました。

9名が集まりましたので、全員で紹介しあっていたのでは時間が足りません。2卓に別れて進行しました。夏地テーブルと石黒テーブルと呼ぶことにしましょう。

まず夏地テーブルは4名でした。どんな本が紹介されたか記します。(夏地著)

失はれる物語(乙一)

短編集。この著者は2つの作風によって
ホラーやグロい話 → 黒乙一
感動する話 → 白乙一
と呼び分けられている。この本は白乙一の話が多め。

代表作の「calling you」は孤独だけど友達が欲しいと思っている女の子が、自分だけの理想の携帯電話を想像するうちに頭の中にリアルな携帯が存在するようになっていく。
その携帯に同じ孤独を抱えた男の子から電話が掛かってくる所から始まるボーイミーツガールの話。
この短編集の他の話にも言えるが、孤独を出会いによって癒やして終わりではなく、孤独を生きていく強さを身につける話であるのがいい。ホラーを書いているだけあって、文体がシンプルで綺麗。

涼しい気持ちを味わえるのでこれからの暑い夏にオススメ

しょぼい起業で生きていく(えらいてんちょう)

著者のえらいてんちょうはYouTubeもやっていて創価学会や幸福の科学等の新興宗教と関わりがあり、新興宗教について大学院で勉強していたのでこの著者を知った。

この本ではお金をかけずに起業するやり方について教えている。

作者はまず商売する所に住み、近所の人と仲良くなって、自分の家にあるものや近所の人から貰った不用品でリサイクルショップを始めた。最初はタダでなんでもやり近所の人の役に立ったり、SNSでファンを獲得してお客として来てもらったりしていた。

ノウハウを得た後は起業をしたい人にはアドバイスしたり、投資したりと人間関係を大切にしている。

会社勤めに向いていないという著者に、自分もどこかに就職しているのが想像できなかった事もあり共感した。

神様ゲーム(麻耶雄嵩)

大学に入って本を沢山読みたいと思って読み始め、大学の1年目で読んで1番衝撃を受けた小説。ミステリー。子ども向けの小説である。

市内で連続ネコ惨殺事件が発生し、主人公ヨシオ含む5人で解決に向け探偵団を結成する。
ある日ヨシオは同級生のスズキが「自分は神様であり、なんでも知っている」と言うので色々と質問をする中で、ネコ殺しの犯人を尋ねた。スズキが答えた犯人が本当かどうか確かめた所それは本当だった。その後ヨシオは友達であるヒデキ(探偵団のメンバーではない)が秘密基地の井戸の中で死んでいるのを発見する。

この話はミステリーなので最後に犯人が明かされるが、納得できるスッキリするようなものではない。
しかしそれは子どもに向けての「現実は理不尽で不条理な事が存在する。しかしそれでもその現実を生きてゆけ」という著者のメッセージである。

論語と算盤(渋沢栄一)

大河ドラマ「青天を衝け」の主人公や、新一万円札の肖像のモデルである渋沢栄一は、多くの企業や銀行の創立に関わった。
この本では、孔子の教え(儒教)を弟子が書にしたためた、道徳の教科書である論語を使って渋沢を語っている。

仕事はマニュアル通りではなく、趣味(=ここはこうすれば良いのではないか、と自分で考えてやっていくこと)を持ち、やっていくのが大切とのこと。
時代が違うので全てという訳ではないが、仕事をする上だったり人間関係で当てはまる所が多いと思う。頭が良くなった気分になる本。

自分が働いていた会社ではお金で判断する事も多かったが、やっぱり人の道徳的な部分は大切。
道徳を大切にする事によって結局は自分に返ってくるし、幸せな生き方をする為に必要だと思った。
常識があるというのは極端に走らない、
知=知識 情=人への思いやり 意=やるぞ!という精神力いる人
のバランスがとれている事で物事をするのにどれも必要である。


以上、夏地テーブルでした。

続きまして石黒テーブルは5名でした。

聖なる怠け者の冒険(森見登美彦)

怠け者の小和田くんやその他の面々が祇園祭の宵山の一日にドッタンバッタン追いかけたり追いかけられたり、ファンタジックだったりする森美節炸裂の小説。

「私は祇園祭にデートした思い出とかはありません」と言うと、場が湧きました

ジェーン・エア(シャーロット・ブロンテ)

架空の人物、ジェーン・エアを主人公にした物語。舞台は19世紀。

孤児院に入ったり、様々な圧力を受ける主人公だが、その中で屈せずに生き抜く小説。
「私は悪いことはしていない」と逆境を跳ね返す。

この本の紹介者は国文学部出身の文学ガチ勢なのですが、学部を選ぶ前にこの本と出会っていたならば、英文学の道を選んでいただろうなと語ったほどの一冊。

上下巻あるのに、主人公が20代でお話が終わるらしく、相当濃い物語なのだろうと推測されます。

感動の条件 永松茂久

たこ焼き屋から始め、大人気居酒屋を創業した著者の自伝的な自己啓発本。

この本を読むと、人との関わりをもっと大事にすべく思い直したくなる。

フォーユー理論とは、目の前の人を最大限に喜ばせること。そうすれば成果が上がる。
また、自分の軸を整えること。先祖やあるいは先の戦争で死んでいった若者たちの意志を無駄にせず生きることが大事。

私が「この著者は人に好かれたいタイプだから、自分とは違うと思うのです」と意見を述べたところ、
「いやいや、誰しも人に喜ばれる仕事をするのが大事だと思いますよ」って説得された。
確かに、自分のことばかり考えると悩みが深まるばかりだ。

ブルッキーのひつじ(M.B. ゴフスタイン)

シンプルな線画とリズミカルな詩で綴られた絵本。

紹介者の夢は絵本を出版することで、この本を紹介してくれました。
なんと! 朗読で!

紹介するなら全部読んじゃえ作戦が繰り広げられて、大変盛り上がりました。
メエ メエ メエ とか。

自分には選び得ない作戦を展開してくれるってすごく面白い。トリックスター登場。
次回は自作の紙芝居を作ってきてくださいと要望しました。

未来は決まっており、自分の意志など存在しない。(妹尾 武治)

人は自分の自由意志で選択していると思っているかも知れないが、それは神が選んだ罠である。
とかっていう、分かるような分からないような本。
例えば、最近の研究によると、体が先に動いて後から脳で動いたことの理由付けをしている説がある。
だから、環境や何かによって動かされており、自分の意志など存在しない。

あるいは、コンビニは売れるように最適化されているが、ディーブラーニングによって棚割りをすると、人間には理由がわからないのによく売れるようになるらしい。
だから人間の意志で判断することなどたいしたこと無いということで、無意識のうちに判断していることが多いのではないか。

この話を聞いてベルセルクを思い出しました。

この世界には人の運命をつかさどる何らかの超越的な「律」
神の手が存在するのだろうか
少なくとも人は自分の意思さえ自由には出来ない

ベルセルク

ちなみに本とは関係ないですが、モーツァルトは右脳に、ベートーヴェンは左脳に働きかけるようです。
最近はITで左脳系の仕事はやってくれるから、モーツァルトを聞くべきだという結論に達しました。


以上9冊を紹介しあい、会話も盛り上がりました。とても楽しかったです。

2卓に別れたので、隣の席の話し声が気になるのは正直なところでした。隣の席から「ワラクリが、ワラクリが、」って声が聞こえてきて、私は「ヘンテコなブログを紹介すんな!」って心のなかで思ったのです。その分だけ本の紹介を聞きそびれてしまったのです。

こういうこともあるし、全員の話を聞けないのもあるし、2卓はちょっと残念なのですけれど、不足を感じるくらいが次回に繋がっていくんじゃないですかね。
あるいは、ボイスレコーダーでも仕込んどけば良いかもしれない。

サルサダンスとか盆踊りとかを趣味とする私にとっては「読書会なんてめっちゃ地味だなぁ」って思っていたのですが、めっちゃ楽しくてビックリしています。
酒もなく、音楽もなく、勝ち負けもなく、異性とのイチャイチャもないのに、なぜに楽しいのか?
分からんので、多くの人に味わってほしいなぁと思います。

次回は8/4(水)にやることにしました。オリンピック期間中ですが、世の中はどうなっているのでしょうか? 楽しみです。
>>好きを語ろう読書会第4話(京都伏見桃山)

リンク

失はれる物語 >> https://amzn.to/3r9ZtO6

しょぼい起業で生きていく >> https://amzn.to/3eozH3x

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