藤野恵美さんの「初恋料理教室」を読了しました。
私の母はたまにお料理講師をしているので、参考になるかと思って読んでみた。
なんと京都が舞台でした。
ほのぼのヒューマンドラマ。
○
料理教室に行ってみたら、素敵な異性に出会った。
しなやかな包丁さばき、清潔感のあるエプロン姿、香る出汁。
「この人と結ばれたら、一緒に台所に立てるかな?」
ぽわわわーん。
なんてことを、妄想したりしませんか?
私は料理教室に行ってみたい。けど、行動するほどの思い入れはない。
などと、考えていますから「初恋料理教室」というタイトルに惹かれました。
ところがどっこい、作中の料理教室は男性限定なのです。表紙を見た時点でなんとなくは分かっていたけどね。
だけど舞台が京都で、まさにおばんざいを作る。
うちの母とイメージが重なるぞ。
と言うのも、うちの母は商店街に生まれ育ち、店長を長らく続け、お客さんのニーズに応えるためにおばんざいを作って売るようになって、たまに料理教室の講師をするようになった。
私から見るとテキトーな母ですが、お料理には定評があるようだ。
さて本作は愛子先生という年配だが凛と美しい女性が開いている料理教室に、男性4名が通うというストーリー。
4話の連作短編となっていて、世代の違う男性が主役になります。恋をしたり、問題を抱えていたり、夢があったりとメリハリがある。
話の展開がちょっとご都合主義的ではありました。意固地だった人が突然態度を軟化させたり、意中の人と偶然に町で出会ったり。ミキというキャラは無理があるなぁ。
「嘘つけー」と4回くらいつぶやいた。
ただし、料理教室の描写は自分が講座を受けてるような臨場感で、得した気分。
これは、著者の藤野恵美さんが長らくフードライターをしていたそうで、料理やお店に関する描写がお得意なんでしょうね。やっぱり経験値は生きますね。
お店の開業に向かうストーリーはとてもワクワクしました。
初恋料理教室というのは第1章から取ったタイトルなのですが、もっと良いのがあったのではないか? 京都やおばんざいなどをタイトルに付けた方がキャッチーだし内容にも即しているんじゃないか? と思うんですよねぇ。
「京都良縁お料理教室」とかどうかな?
とにかく、料理教室という点ではとても読ませる作品でした。ご都合主義なのが残念なので、そうなるくらいならハッピーエンドにしない、という選択もあるのかな? どうでしょうか?
それ以外の選択肢をなくしていく、のが大事なのかな?
今後も、ものがたり論の研究をしたいと思います。
そしてさらには、「京都良縁お料理教室」は私が開講しましょうかね。
料理教室に行ってみたら、素敵な異性に出会った。
しなやかな包丁さばき、清潔感のあるエプロン姿、香る出汁。
「この人と結ばれたら、一緒に台所に立てるかな?」
ぽわわわーん。
なんてね。