2021年12月22日(水)、好きを語ろう読書会(京都伏見桃山)が招集され、3名で好きな本を紹介しあいました。
純喫茶のようなコーヒーチェーン店で19:00~20:00の1時間、計3冊の本が紹介されました。
では以下に、どんな本が紹介されたか記します。
シャイロックの子供たち(池井戸潤)
紹介者:グロ
企業ミステリー連作短編小説。半沢直樹や下町ロケットで有名な池井戸潤氏が自分の書き方を決定づけたと語る本。
シャイロックとはベニスの商人に出てくる強欲な金貸しの名前で、金貸し=銀行が舞台の小説です。
10人の登場人物それぞれの視点から銀行内で起こる大なり小なりの事件が語られる。
出世を目論む人や、ノルマに苦しむ人、汚点を隠そうとする人など色々出てくる。ついには行方不明者まで出てきてしまう……。
各短編の終わり方が強烈で、え?終わるん? と言いたくなってしまいます。次の章で明確な答えではないけれど、どうなったのかは知ることができるような仕組みになっています。
続きが気になるお話でした。
スケルトン・キー(道尾秀介)
紹介者:マグロ
ハードボイルドな小説。
主人公、坂木錠也は母を亡くし、養護施設で育つ。19歳のときに雑誌の調査員の仕事につき、芸能人の隠し撮りや追跡などをする。
主人公は感情が欠落しており、恐怖心もないので、命がけの仕事は向いている。
抗うつ剤を飲むことにより一時的に感情的になることができるので、裏ルートでその薬を入手している。
そんな主人公だが、養護施設の友人に母が死んだ理由を聞かされたところ、狂気性が発動していく。
紹介文の中で、心理に詳しい中野信子氏が「著者自身がサイコパスかと思うくらいに、心理描写が的確」と語っている。
アクションが多くハードボイルドだが、心理描写が細かく、感情移入してしまい、自分もサイコパスなのではないかと思えてくる。
また、バイクなども登場し、展開が早く、疾走感がある。
あなたの狂気性も花開くかも?
出口のない海(横山秀夫)
紹介者:カトリーナ
戦争を題材にした青春小説。
第二次世界大戦における、人間魚雷「回天」を題材にした話。海の特攻とも呼ばれ、死ぬことが決定づけられている。
だが、主人公は乗ることを志願する。なぜそんな選択をしたのだろうか?
主人公は甲子園にも出たピッチャーだった、魔球を投げることを夢見ていた。恋、家族、友達との関係を描き、悲しいけれど青春の話。
紹介者によると、バスの中で号泣したとのこと。
ただし、永遠の0に感動した人は、こっちには感動しないみたいです。
悲しい話だけれど、生まれた時代によっては運命が大きく変わるので現状の生活を感謝できるとのこと。
フリートーク中に青の炎(貴志祐介)や四十九日のレシピ(伊吹有喜)も話題に上がりました。
紹介された本は以上です。
以下は事務局の感想。
前回は10人が集まり、今回は急に3人になったので、かなり驚いています。
ですけど、むしろ今回の3人というのが正常値なのかもしれません。
これまではコロナ禍で他の読書会が休止していたらしく、かなり遠くから来ていた人もいた。そんな遠くから来る!? と驚いておりました。
年末のせいで慌ただしい人が多かった可能性もあり、どこが正常値なのか読めないところはありますね。
過去にも3人の時がありましたし、その時も今回も充分に楽しかったです。人数が少なければ少ないほど、持ち時間が長くなり深い話になる。
特に今回はマグロとカトリーナの好きなジャンルの本が共通していたので、二人で盛り上がっていましたね。私はちょっとのけものでした……。
これまでは想定以上に人が集まっていたので、現状維持にせざる負えなかったのですが、今回のように集客人数が落ちるのであれば、色々と変化させられるので、工夫の余地がある。
・会場を変えようかな?
・曜日を変えようかな?
・本のジャンルを限定しても良いかもな?
・もっと気軽に参加できる運営方法はないかな?
と、考えています。
あと、今回は飲みに行きまして、楽しい二次会も過ごせました。
小説の執筆などについて語った。
次回の日程はまだ未定です。
来年の事を言うと鬼が笑う、と申しますので、問題ないことは決めないままでいきます。
年末年始、お時間のある方は読書などいかがでしょうか?
以上です。
紹介本リンク
シャイロックの子供たち(池井戸潤) https://amzn.to/3JeJPK0
スケルトン・キー(道尾秀介) https://amzn.to/3mtdd5m
出口のない海(横山秀夫) https://amzn.to/3sM3mvN