赤毛のアンはどうしてこんなに魅力的なのか?


言わずと知れた名作「赤毛のアン」を初めて読みましたので、その感想を記します。
超有名な作品ですし、多くの人が読まれていると思いますので、私が何かを言及するのはおこがましいし、浅いと思われるんじゃないかとハラハラしますけど、勇気を持って書きたい。

そもそも、私のような歳になって若い女の子が読むような作品を読んで、面白いのかな? と冷めた態度をとっていたのですが、いやはや、面白い。驚きました。

アンが生き生きと心のなかに入ってくるのですよ、可愛いんですよ。これは親のような視点です。今で言うキャラ小説、めちゃめちゃアンのキャラが立っている。スゴイです。
まず、アンはおしゃべりモンスターです。ものすごく喋る。実際の出来事や空想の話や読んだ本の話や聞いた話などを交えて、とにかく喋りまくる。見開き1ページ分喋りまくる。読んでてタジタジしてきます。だけど、実際に聞いてるみたいになってきて、唖然としつつも可愛く思えてきます。
アンが容姿にコンプレックスを持っているのも健気です。赤い髪と美人ではない顔、広がった袖の服を持っていないことなどをよく口に出します。これを表現できるのは小説の良いところですよね。漫画や動画の主人公はだいたい他の人より可愛いので、嘘つけ! と思いますからね。
そして頑固さ。赤い髪や容姿について人から貶されると猛烈に怒る。そしてずっとずっと許さない相手がいて、執念深い。人間らしくていい。
また、トラブルメーカーでもある。これは空想しすぎてぼーっとなるらしく、ヘマをやらかしてしまいます。落ち込むアンですが、そこが愛おしくなりますし、トラブルとトラブルが重なって上手くいった時は、ミラクルか! って心がスカッとしました。
などなど、まだまだアンの魅力は語りきれない。努力家だったり、中二病だったり、チャレンジャーだったり、本当に心のなかに住んでくれるようなキャラ立ち具合です。

これは、おしゃべりモンスターというキャラ設定が最も重要なポイントなのかなぁと考えます。三人称でストーリーが進むのに、アンが何を考えているのかをよくよく理解できる。三人称であるから、アンの引き取り手であるマリラやマシュウの視点でも物語を追えるし、私のように親の視点でも読めるのだと思います。

敵キャラも豊富です。あくまでもアンにとっては、なのでさほど悪い人は出てこないのですが、少女にとって口うるさいオバサンとか教師とか、意地悪な同級生などは強大な敵として立ちはだかってくれます。

思ったよりも時間の流れが早くて、急に大人になってしまうアンなのですが、その成長が喜ばしくもあり、「少女じゃなくなってしまうんだなぁ」とすこし悲しくもあるようなお話。完全に親心ですね。

最も感銘を受けたのは「想像力」についてアンが誇りを持っていること。
金があるとか、モノを持ってるとか、旅行に行けるとかそういうのではなくて、想像力があることこそ豊かさなんだと、アンが言い聞かせてくれる。
最近私は「最後は芸術しかない」と思っているのです。
最低限の金は必要ですけど、それ以上の金を求めすぎてるんじゃないか?
金のために働いて、疲れるから金を使って癒やす。あるいは見栄のために金を使う。自己顕示欲のために、承認欲求を満たすために。
老後の資金を貯める必要があるのかもしれないが、そもそも生きながらえる必要はあるのか? 濃密な今を過ごすほうが価値があるのでは?
贅沢な食べ物は体に悪いし、ネットで動画を見すぎても頭が馬鹿になりそうだし、金で継続するような人間関係は虚しい。
金に頼らず、他人にも依存せず、自らを満たそうとするならば芸術しかない。
プーチンもその他先進国の金持ちも自ら芸術を生み出して、それを喜ぶ生き方をすべきじゃないのか?
赤毛のアン読めよ、と思います。

最後に、お茶会について書いておきます。
アンが生きた時代はテレビもネットもない時代で、読書とか演劇とか移動遊園地とかが娯楽で、現代よりも娯楽は少ない。
そんな中でアンは何を愉しみにしているかというと、お茶会に呼ばれることにめっちゃときめいているんですよね。
私は、そっちの方が幸せなんじゃないか、と想像した。
スマホで手軽に入る娯楽のせいで、あるいは資本主義のせいで、ただ人と人とが喋るだけのお茶会が遠くに行ってしまった。まぁ、コロナのせいもあるけれど、お茶会を愉しみにする生活がしたいよ。
みんな充実感を求めがちだし、刺激を求めがちだし、インスタ映えを求めがちなので、今やただのお茶会は難しいなぁ。
だけども私は、素敵なお茶会を夢見ているのです。
ぽわわわーん。

赤毛のアンを読みまして
・少女向けとはいえ名作はスゴイ
・想像力は豊かさの源泉
・素敵なお茶会がしたい
などと、思いました。

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