テーマは重いけどオシャレだ「額装師の祈りby谷瑞江」


谷瑞恵さんの「額装師の祈り 奥野夏樹のデザインノート」を読了しました。
額縁を作る主人公とその依頼者による連作短編小説。
死別した人への想いが全体的なテーマになっていて、その想いを解き明かすミステリー調です。
自営業者が多く登場する世界観が好きでした。

私は読書会を開催しており、本作は参加者が紹介してくれたものです。
その紹介によると「絵を描くなど作品を作っている人には心揺さぶられるものがある」とのことで興味を持った。私はものづくりが好きな質ですから。
確かに、額装師、ネイリスト、カレー屋、Webデザイナー兼BARの店長など自分の技を仕事にしている人が多く登場し、その世界観に好感を持った。
だけど、聞いてた印象よりも重いテーマでした。

主人公はクライアントの依頼によってオリジナルの額縁を作ることが仕事です。
額縁というと普通は絵をイメージしますが、この作品では絵ではないもの、木の枝やカレーポット、壁に描かれた絵、さらには物体になってないものまで依頼されるのです。
「何でそんな物を額装して飾っておきたいの?」
と、主人公も読者も思うわけですが、そこには想いがあって、それを解き明かしていく、そこにミステリーがある。
想いには、死んだ人が残していったものが含まれていて、想いが重い。

主人公の夏樹(女性)も婚約者を亡くしていて、まだまだ気持ちが晴れていない状態です。近所にはその死の真相を知っていそうな人物がいて……。

物語の舞台は京都っぽいな、と思いました。
うなぎの寝床、裏通りにも商店があったり、表具額装店が会社として成立するなら京都だなって思ったり。なんとなく、烏丸三条より西側の町並みを思い浮かべながら読みました。

純というキャラが登場するのですが、全体的に重いので、彼がもっともっと笑いをとってくれるキャラだと良いのになぁと思いました。チャラいキャラとして出てくるのですが、彼にもトラウマがあるせいか、明るくなりきれていない。テーマが重いので、もっとコミカルなシーンを希望します。

ですけどとにかく、額装師を主役に据えるのがカッコいいですよね。フレーマーという人がこの社会に存在するとは読むまで知らなかった。主人公の仕事っぷりもカッコよいので、ある種のヒーロー物として読むべきかもです。
若い女の子が読むと夏樹に憧れを抱けるのかもしれません。
私にとっては夏樹すら若い女性だからなぁ……うむむ……。

あと、女性って、失意の中で仕事に打ち込むって展開、好きですか?
社会人女性向け王道展開なのかな。
同じ気持ちを抱える人多いのかな?

男の場合は……だいたい異性との出会いからスタートして……。

分からん、ものがたり論を研究せねば!


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