花田菜々子さんの「出会い系サイトで70人と実際に合ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」を読了しました。
知らない人に会うって、冒険なんですよね、そこには異世界がある。
だからこの実録風小説は冒険譚だ。実際に戦闘力が上がっておられる。
私は何が好きなんだろう?って考えさせられる本でした。
○
前回の拙者の記事を確認すると、2ヶ月前だ。
この間、何をしていたのか?
切れてた足首の靭帯が治ってきて、走ったり泳いだりが全力でできるようになり、さらには盆踊りシーズンに突入し、また家の中は暑くて、本を読んだり文章を書いたりするのはおっくう、という2ヶ月間を過ごした。
夏の日々は濃い。2ヶ月前のことなんて思い出せん。
だけどあの日は、また読書に向き合うきっかけになった。
前から好きだった女の子とカフェ付きの書店でお茶をしたのだ。ぽわん。
座敷に上がり、ちゃぶ台を挟んで目の前にいるその子の可愛らしさについては沢山の言葉が溢れてくるし、実際にニマニマしておったのだが、これらの詳細は後日フィクションとして書かせてもらおう。
「良ければ読みますか?」と、ちゃぶ台に置かれた本は、拙者が絶対に書店では手に取らなさそうな本で、表紙が黄色くて、タイトルが長くて、内容が想像できそうで、ちょっと困惑。「ぜんぜん自分に合ってなそうやん」
それは当然のこと、古本交換会に出そうとされていた本なので、拙者のために選ばれた本ではないのだ。
という経緯で、本作を読むことになったのですが、これが面白い!
まずタイトルの通り、出会い系サイトで出会う過程がゾクゾクする。未知との遭遇。婚活目的のサイトじゃないみたいで、雑談相手マッチングみたいな感じ。だけど、ヤリモクみたいな男たちもいる。キャー怖い。
良い人もいるし、同性とも出会います。そして相手に合った本を紹介しつつ、相手からも学びます。
そんな出会いを繰り返すことによって、対人戦闘力が上がっていくのです、冒険譚であり成長譚。物語の王道だ。これが実録風だから臨場感あってめっちゃおもろい。
上がった戦闘力と、培った人脈で、どんどん自由になっていく。そういう気持ちよさがあります。
拙者も色んなボランティア活動に顔を出して、対人戦闘力を上げた時期があった思い出が蘇る。
自由になった結果、本当にやりたことは何だろう? と主人公は考えるのですが、それは拙者にも言えることだ。
菜々子にとって「本を紹介すること」は拙者にとって何だろうか?
やりたいことをやりまくった先で愉快な人に出会いたいよなぁ、と思いまして、かなり心に残る本になりました。
これは、走ったり泳いだり、盆踊りした先にあるものなのだろうか? それともこうして文章を書いた先にあるものか? 悩ましいね。
余談ですが、作中に「山田ズーニー先生」の本を紹介する記述があるんですが、敬称略で書かれていたことに、拙者はややムッとなる。ですから拙者は「山田ズーニー先生」を敬愛してやまないのだな、と実感させてもらったところです。
気候は秋めいてきました。
家の中にいてもさほど暑くない。
読書も執筆もできそうだけど、ラブレターは書けそうにないな。
しゃあねぇ、今日も盆踊りに出かけよう。