な氏は正義感強いんだな「マリアビートルby伊坂幸太郎」


伊坂幸太郎さんの「マリアビートル」を読了しました。
カモシネマ17の古本交換会にて入手した本作、前の持ち主はイライラしたそうです。
なるほど!悪い奴らが出てくるもんな。
面白かったけど、苦手でもある。ブレット・トレインの原作小説

古本交換会なるイベントが実施された。
これは京都にゆるゆると流れる鴨川の河川敷で行われたカモシネマ17のサブイベント。
拙者は夏の夜の野外映画鑑賞を愉しむとともに、古本を交換したのだ。
額装師の祈りby谷瑞江」を持っていった。学生さんのイベントなので若い人が好みそうなものを差し出した。
一方、古本ラインナップの中に「マリアビートル」を発見した。たしか読みたい本リストに入っていたから。

この古本交換会のちょっと面白いところは、前の持ち主のメッセージが添えられていること。ちなみにそれを読んでから交換OK。
前の持ち主は「な」氏、たぶん中島さんだろう。
「最初から最後までイライラする本です」
とのこと。
『え! 読む気なくすわ!』
と、拙者は思ったのだが、目の前にブース担当の女子大生がいたので、優柔不断な性質を見せたくなくて、「これにします」と爽やかに言ったのです。

ちなみになぜ読みたい本リストに入っていたかというと、ハリウッド映画化されるという情報を聞いていたからだ、そしてそんなことはすんなり忘れていた。
ちょうど「ブレット・トレイン」というタイトルで本日から映画公開。

読んでみると、実に映画的な小説だった。
殺しを厭わないいかがわしい仕事をする連中が同じ新幹線に乗り合わせ、自分のミッションを達成するためにドタバタします。
三人称多視点で描かれ、ハラハラドキドキの展開。
また、伊坂氏らしい伏線回収、殺伐として痛々しい中にもコミカルなセリフ回しなど、大変面白い作品。

しかし、好きか嫌いかで言うと、苦手。
(好きか嫌いかで言わへんのかい!)
というのも、あんまりバイオレンスな作品でハラハラドキドキしたくないんですよねー。寝る前に読みたいので。

おそらく、前の持ち主の氏は正義感が強くて、悪いやつのその悪意にイライラしたんだろうなぁ。
分かるよ分かる。
氏よ、あなたは悪い人が出てこない作品を読みなさい。
伊吹有喜さんの作品が良いよ。
と、こんな風に古本交換会のお陰で、内容と氏の気持ちも織り交ぜて読むことができて、新たな読書体験でした。

「マリアビートル」ではしきりに「どうして人を殺してはいけないのですか?」という質問が出てきて、各人物がそれぞれの答えを発します。
拙者はなんて答えるかなぁ?

「まぁ、いざって時には殺すこともしょうがないと思うけど、自分が殺されたくないなら、それを他人にやるべきじゃないよね」
「じゃあ、殺されたい人なら殺してもいいんですか?」
「殺されたい動機にもよるけれど、救えるなら救いたい。しかし、生きることがどうしても苦痛ならありかもしれんね。日本の法律では許されてないけど」

などと言うかな。
それよりも実際的なのは、元カノに
「子どもが幸せになれるかどうかわからないのに、子どもなんて生みたくない」
と、言われたことがあったな。
別に切迫した状況じゃなくて、普通の食事中の会話でですよ。
拙者の考えとしては、社会的な持続性がなくなることや、そこまでの責任を負う必要はないことや、子育てして成長する部分もあることなど、頭をよぎって、だけど、議論する必要もなくて、ただ『彼女は親子関係に不満を抱えて育ったのかな?』とは思った。
『そういうのが僕との交際で解けていけばいいな』なんて想いも虚しく、彼女の彼氏だった時間はあっけなく終わった。
彼女の部屋の鍵を返したあの日は……

ちょちょちょ、
哀しいことを思い出させないで下さい。
はぁ、次の本読もう。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です