沢山読んで沢山書けば作家になれる「物語ること、生きること(by上橋菜穂子)」


上橋菜穂子さんの「物語ること、生きること」を読了しました。
どうすれば作家になれるのか? との質問に答えるために、自身の過去を振り返る。
優しい語り口で一気に読みました。
病弱で、本の虫で、それでも強い者に憧れた幼少期、祖母の口伝、読んできた本の紹介、文化人類学者と作家業についてなど。
自分と著者との共通点を見つけ、作家になれる気がしてくる。

私は作家に憧れていて、自分の書いた物語が出版されること、またそれがアニメ化されることを夢見ている。
そのためにどんな努力をすべきか? これがまだまだ分からないので、書いたり読んだりしながら、自分なりの物語論を確立しようとしているところ。

上橋菜穂子さんは今やハイ・ファンタジーの女王。私は「鹿の王」を読みました。世界を作り上げれる人の頭の中はどうなってるんかな? と疑問が湧きます。
本作を読みますと、結局はたくさん読んで、たくさん書いて、たくさん観察したんだろうなと、よく分かりました。

だから、近道なんかなくて、ぜんぜん勝てねえな、と思います。
読書量が圧倒的だし、十代の頃から物語を書き始めたらしいし、文化人類学者としてのフィールドワーク経験もある。
それでも一度は諦めてる。
送った原稿が編集者さんの目に止まり、デビューに至ったそうです。27歳の時。
小説を書くようになってから約10年ってことですかね。それまでは弟と親友にしか原稿を見せてなかったそうです。
「上橋菜穂子さんでも10年かかってる」
作家を目指すなら、これは胸に留めておくべきかもしれませんね。

創作法などはほぼ書かれていませんが、シーンが浮かんでそれを元に想像を膨らませる。あとは、自分の経験・憧れから物語の題材になることが多いみたい。

おばあちゃんからの口頭伝承の影響については手塚治虫さんも同じことを言っている物語の原点。
よく観察することについては、小川洋子さんも同じだと思いました。

私は物語論を確立しようと思っていますが、

物語の方程式を教えることは簡単です。でも、プロの作家は反対にお決まりの方程式をいかに外すかを必死で考えているものです。

とのことで、パターン化しつつもそれを否定するのも大事なようです。奥深いなぁ。

「自分はこういうタイプです」ということをよく語られており、「それは私も似てます」なんてことがあると、自分も作家になれるんじゃないかと希望が湧きます。一生懸命に共通点を探しました。
読書量や経験の差には愕然とするのですが、読んで書くのを10年続けたらなんとかなるような気がしてきました。

テクニックなどは学べませんでしたが、きっとその方がいいんだろうな。

巻末のブックリストにときめきを覚えました。


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