森見登美彦さんの「四畳半タイムマシンブルース」を読了しました。
面白い。とても面白い。そもそもファンなので当然なのです。
京都の腐れ大学生が青春を求めて七転八倒する不思議な物語、四畳半神話大系の新章。
おなじみのキャラがタイムマシンで遊びます。
前半は重いが、終盤は打ち寄せる波のようなエンディングで気持ち良い。
○
そもそも私は森見登美彦さんのファンである。
初めて作品を追いかけた作者で、小説の効用を教えたくれた作者で、私が遊ぶ時には森見作品的な遊びをしたいと、実生活にまで影響を及ぼす作者です。
アニメ版の「有頂天家族」を見たのですけど、それは第2シーズンだったのです。じゃあ、と第1シーズンを見るのが普通ですけど、有料だったのでやめておいて、原作小説を読むことにしたのです。(ケチかよ!)
これがすごく面白かった。
寝る前に読むんですけど、登場人物たちと夢の中で過ごせるような感覚でした。
「夜は短し 歩けよ乙女」はさらに面白かったし、「四畳半神話大系」も同じテイストで好きでした。
また、映画「サマータイムマシン・ブルース」も配信で鑑賞済みです。
こちらもハチャメチャコメディで楽しかった記憶があります。
ですから、シナリオは面白いに決まってるし、森見キャラ・森見文体も大好きですので、私にとってはハズさない作品すぎる。
「また君たちと再会できるのかい?」
みたいな喜びがあるんですよ。
○
タイムマシンものって「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ドラえもん」に出てきますけど、それらの規模と比べると小規模で、昨日に行くんですよ。
で、実は昨日のアレの正体はコレでしたと、ネタバラシされていくスタイルです。
ですので、前半部分はその設定を構築せねばならぬので、森見作品にしては軽快さに欠ける印象。しかし、そこを我慢すると、一気にドタバタ劇が始まって楽しいです。とても楽しいです。
この作品は「四畳半神話大系」を読んでからあたった方が良いと思いますが、私もけっこう前だし、「夜は短し…」や「太陽の塔」との印象がごっちゃになっているので、読まなくても楽しめると思います。
映画「サマータイムマシン・ブルース」を観てない方は、観ないままの方が楽しめると思います。重要なプロットの部分ではかなり重なってる。
私が好きなシーンは、京福電鉄研究会の描写と昨日の自分を見て悶えるところですね。あー、面白い。
ずっとこの世界に浸っていたいと思ったものですから、一気読みしました。
それは、喜びであるとともに、読み終えるという悲しみに向かって進むような。
クライマックスではエンディングが何度も訪れるような感覚でした。
実は、実は、実は、って次から次へと波状攻撃されて、私は幸せに包まれました。
そして思った通り、読み終えたあとの寂しさ。
「ああ、もう、続かないのか」
でも大丈夫。私は気軽に大文字を見に行ける。そして森見ワールドを実体験できるのだ。
京都に住んでて良かった!